msksgm’s blog

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Webエンジニアです。日々の勉強記録、技術書感想、美術観賞感想を投稿します。

「入門 モダン Linux」感想

概要

入門 モダン Linux」を読みました。 感想を書きます。

前提

目的

  • SRE 本で SRE に求められる技術的なスキルが「UNIX システムの内部とネットワーキング(レイヤー 1 から 3)に関する専門知識」と記述されていたので、Linux を学びたかった
  • エンジニア 3 年目なので、初心者すぎるわけでもなく、体系的に学んだわけでもないので、ちょうど良いレベル感の書籍を探していた
  • 翻訳者の紹介資料Linux 関連の最新状況にキャッチアップするための本「入門モダン Linux」で本書を知り、ちょうど、入門書と上級者向けの本の中間だったので読むことにした

事前知識

Linux を体系的に学んだことはありません。 しかし、学生のころ所属していた研究室では PC の OS が LinuxUbuntu)で、初期化された PC のセットアップ周りを行ったことがあります。 そのときに、副次的に Linux の表面的な部分を学びました。
ほかには、学生のころ増補改訂される前の[試して理解]Linux のしくみを読んでみましたが、当時は内容が入ってきませんでした。

読了時間

Miro で書き出しながら読みました。 その結果、2 時間 ×10 日間ほどで、20 時間だったと考えています。 しかし、明らかに内容が入ってこない部分や尖りすぎている部分は飛ばしました。

感想

紹介資料のLinux 関連の最新状況にキャッチアップするための本「入門モダン Linux」本書の立ち位置通りの、入門書と上級者向けの中間にある本で期待通りの本でした。 特に、Linux を学びたいけど、初歩的な部分を学ぶ必要がない人けど高度な内容についてあまり詳しくない人にお勧めしたいです。 具体的な良かった点と気になった点を説明します。

良かった点

良かった点は 3 つあります。

1 つめは、紹介資料のLinux 関連の最新状況にキャッチアップするための本「入門モダン Linux」本書の立ち位置より、勉強の道筋が立てやすいことです。 Linux 周りの OS の知識は、エンジニア 2、3年目ぐらいだと当然のように知っている部分と意識して学ばないと知り得ない部分があります。 そのため、入門書と上級者向けの本のどちらを学ばなければならないのか判断できないことが多かったです。 しかし、本書の立ち位置をもとに、「もともと知っていたところ -> 上級者向けの本」と「初めて知ったところ->初級者向けの本」を判断できます。 同様に、多少わからなくても読み飛ばす判断もできました。 エンジニアになって数年経過した後に、あらためて Linux を学びたいときの最初の本にお勧めだと思いました。

2 つめは、タイトルの割に内容はソフトで、ページ数も少ない(248 ページ)であることです。 最初は「モダン」というタイトルから、身構えていたのですが、説明や翻訳も難しすぎることなく、普通に入門書として読み進められました。 身近な技術の直近の歴史の話まで抑えられていて、自分ごととして読み進めやすかったです。 ページ数も 248 ページですので、挫折することなく読み進められました。

3 つめは、すぐに導入できるような役立つ内容も多かったことです。 Linux の書籍は、ある程度の知識を体系的に理解できた時点でようやく役に立つか立たないかの部分が多いと考えていました。 しかし、本書では下記のとすぐに手を動かして業務効率を向上できる内容も紹介されており、そういった観点からもお勧めできると思いました。

  • モダンなコマンド(Rust 系)
  • ターミナル
  • ターミナルマルチプレクサ
  • シェル(fish、zsh

気になった点

気になった点は 2 つあります。

1 つめは、さすがに尖りすぎな内容も含まれていると思ったことです。 たとえば翻訳者の方が9 章高度なトピックで、異様にマニアックなネタがあることを指摘しています。 ほかに、個人的な意見としては B シェルを発展させた zsh ではなく、別の系譜の fish を先に紹介して勧めているのは、やりすぎなのではないかと思いました。 もちろん、個人のシェルの範疇なら問題ないと考えています。 しかし、B シェルの使い勝手を理解する前に、fish に慣れすぎてしまうとリモートの先の OS といった bash しか触れない状況で困るのではないかと考えました。 この点については、常にローカルのシェルの環境と別の環境に乖離が生まれることは当たり前ですので、考えすぎかもしれません。

2 つめは、コマンドやターミナルは紹介以上の具体的な比較をもう少し行ってくれると良かったです。 せっかく尖った内容だったので、fish と zsh に詳細な比較や、warp と tmux(+ 別ターミナル)の比較は少し期待していました。

実践すること

本書を読んで、以下を実践します。

次に関連で勉強すること

次は、SRE 関連でネットワークの勉強をしたいので、以下の書籍を考えています。

Linux 関連では学生のころに読みきれなかった以下の本に挑戦します。

まとめ

Linux 周辺の勉強をしたくて読み始めた書籍で、非常に有益な書籍でした。 個人的には、2023 年時点で Linux の勉強を開始する際にはこの本から読み進めることをお勧めします。 翻訳者の方の発表資料と発表動画が残っているので興味がある方はそちらを見てから購入を検討すると良いと考えています。

www.youtube.com

speakerdeck.com