概要
「プロダクトマネジメント―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」を読みました。 感想を書きます。
前提
目的
- 4月〜6月の OKR でプロダクトマネジメントが目標の 1 つだったので、個人的な課題図書の 1 つだった
- kyon_mm さんのソフトウェアテストで参考にしている 67 のモノ 2021に紹介されていた
- 「プロダクトマネージャーこそ、戦略的に読書せよ!」── 最短で成果を出すための読書地図でも紹介されていた
事前知識
プロダクトマネジメント関連では、以下の書籍を呼んでいました。
マネジメント系では下記の書籍を読んでいました。
読了時間
200 ページ程度の書籍なので 3~4 時間で読み切りました。 短いページで読み切れるのも本書の良いことだと思いました。
感想
エンジニア組織においては、アプリケーションがマイクロサービス化された大規模な組織にいる人ほど、身につまされることが多い書籍だと思いました。 ビルドトラップとは、組織がアウトカムではなくアウトプットで成功を計測しようとして、行き詰まっている状況を指します。 問題はアイデアやプロダクトがよくないことではなく、プロダクトが成功に向けて成長し続けられるような会社になっていないことにあります。 ビジネス観点における価値から顧客やユーザーの視点における価値を重要視し、アウトカム(機能を届けて顧客の問題を解決したという結果)をどのように出すのか解説する書籍です。
本書では、ビルドトラップを避けるためのプロダクトマネジメントを役割、戦略、プロセス、組織という段階に分割して進行します。 下記はそれぞれの概要を本書から引用しました。
- 適切な責任と構造と持つプロダクトマネージャーの役割を作る
- 優れた意思決定を促進するような戦略のもとで、プロダクトマネージャーがうまく機能するようにする
- 実験と最適化によって作るべきプロダクトを決めるというプロセスを理解する
- 適切な組織の方針、文化、報酬によってみんなをサポートし、プロダクトマネジメントを成功させる
どれも一見当たり前のように思えますが、自分の現場では指標にこだわっている経験がありました。 ただ一人の顧客のための機能ではなく、多くの顧客に対象となるにはどうすべきかについて学べます。 個人的には「OKR はアウトカムに結び付ける」という一文が最も刺さりました。
まとめると「良いプロダクト=アウトプットの数」と考えている組織ほど読むべき書籍でした。 業務効率改善やアジャイルによってリリース頻度を増やすことが正しいと思っていた自分はビルドトラップにハマっていました。 何かをできるようにすることは、何かをできなくするか工数を増やすことだと思い出したので、この本を元に目標の立て方を考え直したり、アウトプットやアウトカムの切り分けをします。 しかし、個人的にはすべてをアウトカムにつなげるのは困難だと考えているので、間接的にアウトカムにつながるアウトプットやアウトカムの前段階としてのアウトプットを多少評価に加えても良いと考えています。
次に関連で勉強すること
他のプロダクトマネジメントやチームビルディング系の書籍を読みます。
まとめ
アウトプット偏重になると陥るビルドトラップを避けアウトカムに注力するための書籍でした。 アウトカムのために、役割、戦略、プロセス、組織という 4 つの段階に分割して進行します。 業務効率改善やアウトプットの増加が目的になってしまうことは実際に多いと思いました。私も陥っている部分がありました。 200 ページという短い書籍ですので、プロダクトマネジメントを学ぶ書籍の 1 つとしてお勧めします。