「リユース革命」[木暮康雄 (著) , 2020]を読みました。
社員の人に勧められたのと、普段の業務的に二次流通に関わる機会が多いので業界理解のために購入しました。 リユースの本って「メルカリでの勝ち方」、「絶対にヤフオクで儲ける方法」みたいなタイトルの本が多いので、この本は貴重に感じられたのも理由の一つです。
感想
感想を簡潔に書くと、近年のリユースについての知識を得られるが、タイトルの割には著者のポジショントークが多い印象です。
この本の内容を大別すると、「日本のリユース事情、文化」、「国際的なリユース事情」、「著者がウリドキを立ち上げるまで」、「リユース企業の紹介」となっています。
「日本のリユース事情、文化」と「国際的なリユース事情」については、タイトルに欲しかった内容が得られます。
例えば、日本のリユース事情、文化を解説するパートでは、以下のことがわかったり
- 年間7・6兆円のリユース品が生み出されている - しかし、年間に流通しているリユース品は2兆円ほどにとどまっている - 実際にモノを売っている人は年間 40%程度に過ぎない - その結果、貯まってしまっているリユース品の累計総額は約37兆円にも上る
日本は世界でも有数の「リユース大国」であること、「ユーズド・イン・ジャパン」という言葉があるぐらい、日本の中古品は優れているなどを知識として得ることができます。 また、国際的なリユース事情としては、日本にはあまりない寄付の文化だったり、イーベイの誕生、メルカリがイギリスから撤退した文化的な背景などを知ることができます。
しかし、この本の3〜4割が、著者が起業した経緯や、全巻読破.com を立ち上げて売却するまでだったり、リユース品の価格透明化を目指したウリドキ(著者が立ち上げて現在も経営)などと、「リユース革命」のタイトルとは乖離している内容も書いてあります。 それらの体験談があってこそのリユース事情を理解していると思うのですが、転勤した話や事業の苦労話やマインドなどは、この本のスコープから外れている印象です。 ただ、経験から導き出されたリユース事業の今後の3つのフェーズ(「潜在的な退職資産を日本で掘り起こす」、「越境 EC」、「リユースの取引データを生かす仕組みを構築する」)は参考になりました。
最後の、リユース企業の紹介もないよりはある方が良かったのですが、唐突にインタビュー形式ではじまるので、なぜこれらの企業を選んだのか気になりました。
感想を再掲すると、近年のリユース事業について豊富にまとめらた本です。 ただし、作者の体験談が長いのが気になりました。 しかし、リユース事情についてのパートは、豊富に調査された内容と、経験から成り立つ今後のリユース産業はとても興味深い内容でした。 リユース業界、二次流通業界に興味がある人には一読してみる価値があると思います。