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Webエンジニアです。日々の勉強記録、技術書感想、美術観賞感想を投稿します。

「特別展 国宝 鳥獣戯画のすべて」感想

特別展 国宝 鳥獣戯画のすべてにいってきました.

特別展 概要

鳥獣戯画展は,緊急事態宣言により会期が 6 月 20 日までになっていました.
チケット争いは熾烈で,発売時刻になってもチケット購入ページに遷移するまで,20 分ほど必要でした.

鳥獣戯画の公開は今回が初めてではなく,過去に何度か行われたそうです.
しかし,全4巻(甲,乙,丙,丁)を公開したのは初めてです.

特別展は,甲,乙+丙+丁,明恵上人の順番に展示が進みます.
甲の箇所で鳥獣戯画の全体的な解説が入り,乙+丙+丁で鳥獣戯画のあまり有名ではない情報の解説があります. 最後に明恵上人の人生について描かれた絵巻と関連品の展示で終了します.

作品 概要

鳥獣戯画とは,平安時代から鎌倉時代にかけて作られた作品です.
擬人化したような動物たちが有名で,光を使わずに線だけで絵を書かれており,漫画の原点の一つだと言われています.

兎とカエルが相撲をとっている絵が最も有名ですが,兎とカエルだけでなく,猿,狐,猫なども登場します. また,動物メインで書かれていると思われがちですが,全部で4巻のうち,甲が主に擬人化したような動物たちの絵がメインとなっています.
乙が幻獣である麒麟と龍が書かれていたり,写実的に描かれている鶏,象,サイ(または玄武)などが書かれていたりします.
残りの丙と丁では,人間が主に書かれており,当時の暮らしぶりが描画されています.

全ての作品を通して同じ作者によって作られたわけではなく,複数人が時代を隔てて作成しました.
そのため,全4巻で作品の対象が異なると考えられます.
また,作品に対して上から加筆した跡や,作品ごとに絵のタッチの違いなどを確認することができます.

鳥獣戯画には,断簡(鳥獣戯画の一部を切り取り,掛け軸などにして飾ったり保存できるようにした作品)と模本(鳥獣戯画を真似て作られた作品)が存在します.
それらを用いることによって,オリジナルの鳥獣戯画の劣化した箇所や,失われた箇所の構図を推測することが可能になっています.

時代を隔てて作成された全4巻の鳥獣戯画は,作品の成功な技術や奥深さを学べるだけでなく,作者の動物や人間に対する感性,そして受け継がれていく医師についても感じとることができる内容となっています.

感想

個人的によかった2点ついて列挙していきます

鳥獣戯画の全4巻を揃えている

鳥獣戯画は京都,東京,アメリカなどから取り揃えられています. 断簡と模本なども揃えていることから,再現できる全体図は,なかなか見ることができない展示だと思いました. 鳥獣戯画が展示してあるだけでなく,それらに関する情報も詳細に書かれています.
作者が時代ごとに異なるため,絵のタッチの違い,動物の描写の仕方の違いなども楽しむことができます.
また,複数人の人が模写や続編を描こうとしたことから,鳥獣戯画は多くの人を魅了したことがわかります.

兎と猫がモフモフに描かれている

水墨画で描かれており,現在とは違うタッチで描かれている作品です.
しかし,兎と猫に対する感性は変わらないらしく,毛並みをモフモフに描かれていることが印象的でした.
カエルが二足歩行なのに写実的にかかれていることも,現在の感性とは違う観点から描かれていて興味深いです.
また,動物でも猪や鹿は家畜のように描かれていることから,作者の基準についても考えさせられる作品となっています.

まとめ

特別展 国宝 鳥獣戯画のすべては,鳥獣戯画を展示だけでなく,それらに付随する情報も知ることができます.
平安時代に作られた作品ですが,現在観賞しても新しさを感じることができます.
今年は東京開催のみかもしれませんが,数年おきに開催されているらしいので,機会があれば是非おすすめです.