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Webエンジニアです。日々の勉強記録、技術書感想、美術観賞感想を投稿します。

「ジョゼと虎と魚たち」(原作版)感想

ジョゼと虎と魚たち」[1997, 田辺聖子](原作版)を読みました.
まとめと感想について記述していきます.
ネタバレがあります.

まとめと感想

ジョゼと虎と魚たち

物語は,主人公の恒夫とジョゼが旅行をしている場面から始まります.
そのため,主人公の恒夫がジョゼとの出会いから一緒に暮らすようになるまでを回想するように話がすすんでいきます.
助けて以来,ジョゼのことを手伝うようになり,二人の仲が深まります.ある日,ジョゼの祖母が亡くなったことから,孤独になったジョゼは恒夫に思いを伝え二人は結ばれます.
一緒に暮らしながら,結婚はしていない二人の関係に対して,ジョゼは旅行先で「死んだんや」,いつか恒夫は離れるかもしれない.と思いながら終わります.

タイトルの「ジョゼ」は外界との接点である,小説の主人公からとり,「虎」はジョゼが最も恐れているもの,外界に対する恐れ,「魚」,「死んだんや」と語る,魚のような二人の関係について表しています. 物語は,旅行先で終わりますが,結婚していない二人の関係に対して,ジョゼは「恒夫が去っても」と思っていることから,ジョゼは別れることを予期しているのかもしれません.

障害者との恋愛をこの時代に描いたのは斬新だったと思いますし,今読んでも古臭さを感じさせません.
アニメ映画と実写映画は,それぞれ小説から切り取りたかった部分を切り取った内容になります.

他の作品について

短編集なので他に作品が 7 個ほどあります.
舞台はどこも関西(大阪?)のほうになっていて,登場人物は全員関西弁だった気がします.
これは作者の田辺聖子が大阪出身だからでしょう.
まだ見ぬ妹の旦那に空想を広げる姉や,10 歳離れた甥に一目惚れした女性,二重人格と言われたことに傷つきつつも,恋愛を通して受け止める女性,などと,様々な女性の観点で物語繰り広げられています.
どれも一筋縄ではいかない設定を持っており,現代にリブートしても,十分に面白そうだなと思いました.
ただ,あまりにも人間関係がわかりにくい始まり方だったり,感情の揺れに共感できなかったりしたので,そこらへんは物語によって選びようかもしれません,