本日「ファクトフルネス」を読了しました.
アウトプットのためにまとめます.
本書の概要
- 本書は医者でもあるハンス・ロスリング氏が息子夫婦と共に作成した本である,
- 著者は世界中で医師として働くなかで世界中には偏見があることを知った.冒頭の「世の中に対する 13 の問題(3択)」は,高学歴の人ほど正答率が低く,平均正答率は 30%以下だった.
これに対して,ハンス氏は人はチンパンジーよりも世の中を使うべきではない言葉なので修正してください(チンパンジーだと 30%の確率で正答する)と表した.
このような結果には人が持つ10 の本能が原因であると述べている.
- ファクトフルネスとは,世界を常識を歪ませる10 の本能を抑えるための 10 個の心の持ち方だ.
10 の本能とファクトフルネス
「分断本能」
- 人や物事を 2 つのグループにわけたがり,大きな差があると思い込んでいる.
- 世界は「世界人口の 75%は中所得層に住んでいる.」,「低所得の国に住む女子の 60%が初等教育を終了する.」という事実がある.
しかし,ジャーナリストは分断本能に訴えることで世界が歪む.
「分断本能」を抑えるファクトフルネス
- 平均との比較」グラフの軸で,平均の意味は全くことなる
- 「極端な数字」極端な数字が正しくても,ここ数年で最も良い数字かもしれない.
- 「上からの景色」貧富は 4 つのレベルでわけられる.読者は最も裕福なレベルにいて,それ以外の3つのレベルはまったく異なるのに,同じものだと考えている.
ファクトフルネスとは.話の中の「分断」に気が付くこと.
「ネガティブ本能」
- 世界はどんどん悪くなっていると勘違いすること.世界の平均寿命は 70 歳.高学歴のグループほど間違える.現在,平均寿命が 50 歳を下回る国はない.
- 悪いニュースの方が広まりやすく,また,世界に課題が数多く残り続けているから,世界が悪くなっているように感じる.
- 「ネガティブ本能」を抑えるファクトフルネス
- ネガティブなニュースに気づくこと.悪いニュースの方が広まりやすい.
「直線本能」
「世界の人口はひたすら増え続ける」という勘違いが「直線本能の 1 つ」
2017 年時点で子供の人数は 20 億人.2100 年時点も 20 億人(予測)のまま.3 択のクイズ(20 億人,30 億人,40 億人)では正答率は 9%.
2100 年時点の予測人口は 120 億人.理由は大人が増えるから.
反対意見の人は「平均出産人数は 6 人の国や文化がある」.そういった国は生活水準の低さから大人になる子供が少ない.また,生活水準があがり子供の死亡率が下がるにつれて,出産人数は下がる.
「直線本能」を抑えるファクトフルネス
- 「グラフは,まっすぐになるだろう」という思い込みに気づくこと.2つしか点がなければ直線にしかならない
「恐怖本能」
- 必要以上に恐ること
- 自然災害で毎年なくなる人は過去 100 年で半分以下になった.
- 恐怖と危険は違う.
- 恐怖はリスクがあるように見えるだけ,危険なことにはリスクがかならずある.
- 「恐怖本能」を抑えるファクトフルネス
- 「恐ろしいものには自然と目がいってしまうこと」に気づくこと.
「過大視本能」
- 数字を見ると,「なんて大きいんだ」や「なんて小さいんだ」と勘違いすること.
- 過大視本能を抑えるには「比較」と「割り算」が必要.
- 80:20 ルール.数字の 80%は構成する要素のうち 20%でできている.
- 2017 年の人口は 1:1:1:4(アメリカ大陸 10 億,ヨーロッパ大陸 10 億,アフリカ大陸 10 億,アジア大陸 40 億)
- 2100 年の人口は 1:1:4:5(アメリカ大陸 10 億,ヨーロッパ大陸 10 億,アフリカ大陸 40 億,アジア大陸 50 億)
- 二酸化炭素の排出量は国全体でみてしまうことも,「過大視本能」.
- 本来は,一人当たりでみなければならない(国全体を見るのは過大視)
- 「過大視本能」を抑えるファクトフルネス
- ただひとつの数字がとても,重要であるかのように勘違いしてしまうこと.
「パターン化本能」
- 「ひとつの例が全てにあてはまる」という思い込み.
- ニュースで流れる悪いイメージを全体にあてはまているため,「世界中の 1 歳児の 8 割が予防接種を受けている.」という事実に,ほとんどの人は驚く.
- 「パターン化本能」を抑えるファクトフルネス
- 「ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら,それに気づくこと」
「宿命本能」
- 持って生まれた宿命によって,人や国や宗教や文化の行方は決まるという思い込み.
- 世界中の 30 歳の男性は平均 10 年間の教育を受けている.それに対して,女性は 9 年間である.女性が教育を受けていないというのは偏見だ.
- 宗教や文化に関係なく所得が上がるにつれて,子供の数は減るという事実がある.
- 「宿命本能」を抑えるファクトフルネス
- いろいろなものは(人も国も宗教も文化も)変わらないように見えるのは,変化がゆっくりと少しずつ起きているからだと気づくこと.
「単純化本能」
- 全ての問題がひとつのやり方で解決できると思い込むこと.世界を誤解してしまう考え方.
- 1996 年にトラとジャイアントパンダとクロサイは絶滅危惧種だった.現在,当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいない.
- 民主主義が目標を達成するのに,最も良い手段だとは限らないことは歴史が示している.
- 「単純化本能」を抑えるファクトフルネス
- ひとつの視点だけでは世界を理解できないと知ること.
「犯人捜し本能」
- 誰かがわざと悪いことを仕組んだように思うこと.犯人捜し本能のせいで個人なり集団なりが実際より影響力があると勘違いする.
- 「犯人捜し本能」を抑えるファクトフルネス
- 誰かが見せしめとばかりに責められていたらそれに気づくこと.
「焦り本能」
- いますぐ決めろと急かされると批判的に考える力が失われ拙速に判断し,行動すること.
- グローバルな気候の専門家はこれからの 100 年で,地球の平均気温は暖かくなると考えている.これは「焦り本能」を煽らせることで,先進国のほとんどの人が知っている.
- 「いますぐ行動を!」という訴えはデータを改善するところから始めるのが良い.
- 最悪の本能の 1 つが「焦り本能」.他の本能も「焦り本能」から来ているかもしれない.
- 「焦り本能」を抑えるファクトフルネス
- いますぐ決めなければいけない」と感じたら焦りに気づくこと.
最後に
- 「ファクトフルネス」によって情報を批判的にみることができる.
- それだけでなく,「自分自身」を批判的に見ることが重要だ.